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蒔かぬ種は咲かぬ 幻の酒米との運命の出会い

横溝 正記さん

栽培品目 ひとめぼれ、にこまる、赤米
  酒米 亀の尾、山田錦、夢一献、銀の里、五百万石
  ミナミノカオリ

 

産直のお問い合せ

久留米市田主丸町中尾1049
携帯 080-2719-4278
E-mail : asahikomizo@aol.com

 

祖母の口癖通りに

 横溝さんが、工業の世界から実家が営む農業の世界へと飛び込んだのは15年前のこと。試行錯誤で米づくりを続ける日々に、横溝さんは、忙しい農作業の合間を縫うように、外へ外へと出かけていきました。その訳は、子どもの頃から耳にしていた「蒔かぬ種は咲かぬ」という、祖母  さんの口癖でした。
そんな時、縁あって福岡県宗像市の伊豆酒蔵より酒米の契約栽培の話がもちあがります。蔵元が望んだ品種は「亀の尾」。戦前、新潟県の名酒の仕込み米としてその名を馳せ、病害虫の被害で姿を消した「幻の酒米」でした。蔵元が新潟へと出向き、ようやく試験場から手に入れた籾は200粒。わずか茶封筒ひとつという量でした。

 

酒米への飽くなき挑戦

 原種であるため背が高く倒れやすいと、つくりにくさは耳にしていましたが、予想をはるかに上回る手間と少ない収量。仕込みに足る量が収穫できたのは、7年後のことです。
しかし、その甲斐あって、「亀の尾」という酒米そのままの名前を冠した大吟醸は瞬く間に話題となり、九州では「亀の尾」で仕込む酒蔵は未だ伊豆酒造1蔵のみです。横溝さんが手塩にかけた背の高いその稲藁は、昔ながらの長さと喜ばれ、注連縄となって地元麦生神社を飾っています。
やがて、契約栽培も軌道にのり、「夢一献」、「銀の里」、「五百万石」と、さまざまな品種への探究心もとどまることを知りません。いい酒ができたと聞いた時の喜びもまた、酒米づくりの醍醐味です。

 

藁一本も無駄にすることなく

 冬、地面にうずたかく積まれた籾殻は、親戚の養鶏場からもらう鶏糞と混ぜて完熟させ、堆肥として稲藁とともに田んぼへと戻します。藁一本も無駄にしない昔ながらの循環がそこにはあり、減反一色の今の時勢にあって、米づくりを広げてゆく土台となっています。
日本屈指の酒米「山田錦」6haをはじめ、現在では栽培面積9haとなり、「中途で就農した自分の代で、最も田んぼが広くなりました」と笑う横溝さん。その言葉には、農業を継いでいた亡きお兄さんの思いも重なり合うかのようです。栽培が難しいという酒米を選びとった第一歩。型にはまらぬ米農家横溝さんの挑戦は、これからも続きます。